兵庫県立生活科学研究所                              テストリサーチ

室内空気汚染物質に対する空気清浄機の性能
  最近の家庭用空気清浄機には、様々な方式のものがみられます。代表的な方式の3機種を対象に、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、NOx(窒素酸化物)の除去性能とその有効性を評価しました。(2001年12月〜2003年2月実施)

 室内空気汚染物質をフィルタのみで除去する「機械式」のほか、フィルタに加えて、光触媒により分解除去するという「光触媒式」、イオンにより分解除去するという「イオン式」の3機種について、除去特性と表示の問題を調べました。

◇大差ない除去方式間の除去性能

 今回の6m3のチャンバー(実験箱)を使ったテストでは、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、NOxの除去に関して、3種類ともほぼ同様の特性が得られ、各除去方式間に大きな差はみられませんでした。
 これは、空気清浄機に付加されている光触媒やイオンといった除去機能より、フィルタ部での除去機能が大きく、その大部分を占めるためと考えられます。NOxについては、どの機種も空気清浄機を使わずに自然換気*などによって自然に減っていく値と差がありませんでした。


自然換気に対する空気清浄機の相対効果
 我が国の住宅の自然換気回数は、0.5回/時間を下回るケースは多くないと言われています。自然換気回数が大きい場合、空気清浄機の除去効果は相対的に小さくなります。
 しかし、換気回数が低く、換気量の少ない高気密度の住宅や、ある程度限られた床面積の場合は、空気清浄機による相対効果は大きくなり、利用する価値はあるでしょう。

◇工夫が必要な適用床面積の表示

 表示に関しては、カタログ、取扱説明書ともにJEM1467((社)日本電機工業会規格)に基づいて算出された適用床面積が示されていました。JEM1467による適用床面積の算出は、タバコ煙に含まれる粉塵を対象として求めた空気清浄機の集塵性能を示すものです。
 ところが近年、室内空気中の汚染物質は、たばこの煙、ハウスダストなどの粒子状のものばかりではなく、ホルムアルデヒド、トルエンやキシレンなどのVOC(揮発性有機化合物)、NOxなどのガス状の汚染物質が問題となってきており、除去したいものが異なれば、表示されている適用床面積の性能に至らない可能性があります。
 適用床面積の表示に関しては、さらにわかりやすく示す必要性があります。

◇定期的に換気することも重要

 防犯上や道路沿いの住宅などで換気できない場合はともかく、室内の空気を清浄に保つためには、空気清浄機だけに頼らず、定期的に換気することが重要です。また、室内空気の汚染を防ぐには、「刺激臭の強い家具や生活用品を購入しない」「殺虫剤、防カビ剤、防臭剤を過度に使用しない」といった注意も必要です。