アレルギー物質を含む食品の原材料表示

 特定の食物を食べることで、じんましんや下痢、呼吸困難などのアレルギー症状を起こす人が増えています。食品のアレルギー物質表示に対する考え方や認知度について、県内16カ所の公立病院の皮膚科・小児科の外来患者を対象にアンケート調査を行い、270人から回答を得ました。(2003年3月実施)

義務化されたアレルギー表示
 食品衛生法が改正され、2002年4月から、加工食品の原材料にアレルギーをおこす頻度が高い「卵」「小麦」「乳」と、生命に関わる重いアレルギー症状を起こす場合がある「そば」「落花生」の5品目を使った場合、含有量にかかわらず表示をすることが義務づけられました。
 また、アレルギーを起こす危険性のある「大豆」「エビ」「カニ」「サバ」「ゼラチン」などの19品目も可能な限り表示をすることが推奨されています。

表示制度を知っている人は半数以下
 アレルギー物質の表示制度ができたことを知っていた人は全体で41%、自分または家族にアレルギー症状のある人でも57%にとどまり、アレルギーのない人では28%しかいませんでした。
 知っていた人でも、表示が義務づけられている5品目をすべて知っていた人は16%と少なく、推奨されている19品目をすべて知っていた人は1人もいませんでした。
 実際の成分表示例をあげた問いでは、「アレルギー物質の表示とはわからなかった」「見たことがない」と答えた人が7割を超えました。

食物アレルギーを起こしやすい原材料を表示する制度ができたことを知っているか

すべての加工食品に表示を
 現在、「店頭で量り売りされる総菜」や「パンなどその場で包装されるもの」「注文してから作るお弁当」「容器包装の面積が30平方センチ以下のもの」はアレルギー物質の表示が免除されています。
 こうした食品についても、「すべてに表示してほしい」50%、「店頭に表示してほしい」38%と、表示を望む人が8割を超えました。また、安心して外食できるように、「飲食店のメニューにも表示をしてほしい」という意見も見られました。
 販売者は食物アレルギーに対する知識をもって、正確な情報を提供することが望まれます。不明な点や心配なことは販売者に尋ねてみましょう。

望まれるわかりやすい表示

 アレルギー物質の表示は見づらいとの声も多く、わかりやすくするために「アレルギー物質が含まれていることを示すマークをつける」「アレルギー物質を表示する文字に、色や下線をつける」といった意見が多く寄せられました。高齢者や子どもなど、誰が見ても一目でわかる表示が望まれます。
 食物アレルギーに対応するには、アレルギーを起こす食物を除いた食事をするしかありません。アレルギーがある人にとってアレルギー反応を起こす物質が含まれているかどうかは、非常に重要な情報です。
 当研究所では、この調査結果や関連して行った試買テストの結果をもとに、厚生労働省に対し、表示やチェック体制の改善を要望しました。