家庭用温・湿度計の実用性

 

快適な室内環境を保つためには、温度や湿度を適切に管理する必要があります。最近インテリアも兼ねた手軽な温・湿度計が市販されていることから、当研究所では商品テストセミナー修了生と共同で、家庭における温・湿度計の使用実態調査と、家庭用温・湿度計の実用性能試験を行いました

 

 

空調の目安に活用

当研究所の商品テストセミナー修了生534人を対象に使用実態についてアンケートを実施し、196人(回収率36.7%)から回答を得ました。

「湿度計」は、温・湿度計と湿度計をあわせて120人(61.2%)が所有し、そのうち3分の2の人が「空調の目安とする」(15.8%)、「健康管理のため」(14.5%)などの目的で購入していました。

「湿度をみて高ければ除湿する」など、3分の1以上の人が日常生活で湿度計を有効に活用していました。しかし、「湿度計をみて湿度が高いことで納得するだけ」(32.9%)、「インテリアとして置いているだけ」(11.2%)という人もいました。

 

湿度測定結果

2,000円以下の安価な温・湿度計8機種を2台(A.B)ずつ試買し、実使用試験を行いました。

温度や湿度を一定に保つことができる恒温恒湿室で温・湿度の設定を変化させていき、それぞれの機種が示す値を見た結果、室内の温・湿度の変化に沿った値を示しましたが、測定値としては商品によるばらつきが大きく、16台中2台(No.1ANo.4B)はメーカー表示の精度から大きくはずれていました。

試買した8種類中5機種(No.2,3,5,7,8)は家庭で湿度を測るときの目安にするには問題ないと思われます。

なお、湿度の違う部屋に湿度計を置き換えた場合、目盛が安定するまでに時間がかかります。取扱説明書では「約30分から12時間」と書かれており、今回の試験でも安定するまでに30分から40分かかりました。

図 湿度測定結果(温・湿度安定時45分後)

線はアスマン通風乾湿計による測定値

 

精度を保証できるものは見あたらない

湿度を正確に測定するのは難しく、JIS(日本工業規格)で測定方法が定められていますが、現在一般に売られている家庭用湿度計には、そこまで保証されたものは見あたりません。

購入する時は、店頭の陳列品の示す値を見比べて、あまりかけ離れた数値を表示している商品は避けることをお勧めします。

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写真 試買した温・湿度計

No.14:精度±5% 5,6:±10% 7,8:±3%)