家庭における防災意識と防災対策に関する調査研究
阪神・淡路大震災の直後は高かった防災意識も、震災から10年が経ち、薄らいできているのではないかと思われます。震災直後の平成7年10月に行った調査を参考に、現在の家庭内の防災対策、意識と変化について調査しました。〔実施:平成16年6月〜8月、有効回答票:804票(回収率53.6%)〕
平成7年に実施した調査では、震災前に防災対策に取り組んでいた人は3割弱でしたが、震災を機に8割の人が何らかの対策を実施していました。
今回の調査では、震災直後に防災対策を何もしなかった人は16.4%、現在何もしていない人が18.3%とわずかながら増加しています。
具体的な対策では、「懐中電灯、ラジオなどの防災用具を準備・点検している」人が53.2%と最も多くなっています。
食器棚、タンス、本棚等の家具類は転倒の危険性があり、金具等での固定が望まれます。
調査でも「家具の転倒防止具(固定金具)」が役に立つと思う人は46.5%と半数近くを占めていますが、実際に固定していか、個々の家具について質問したところ、本棚が12.7%、タンスが15.3%で、意識と行動にはズレがみられました。
図1 地震への防災対策(震災直後と現在)<複数回答>
飲料水を備蓄している人は40.3%(324人)、そのうち震災時に災害救助法「適用地域」に居住していた人が474人中47.5%(225人)で、「適用地域以外」に居住していた人〔320人中30.0%(96人)〕よりも割合が高く、震災の体験に基づき飲料水を備蓄することの重要性を認識していると思われます。
しかし、必要とされている備蓄量(1人1日3ℓ)を備えている人はわずか5.6%(45人)でした。
また、非常持ち出し用食糧を備蓄している人は48.1%(387人)とほぼ半数を占めましたが、救援物資が届くまでの期間と思われる3日分以上を備蓄している人は29.1%(234人)と3割程度にとどまりました。
図2 飲料水の備蓄
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自主防災のためのより一層の対策が必要
防災に関する知識で住民が知っているのは、「近くの避難所への道順」が67.4%(542人)、「消火器の使い方」が56.5%(454人)にとどまりました。
万一の災害時に被害を最小限に食い止め、行動するためには、普段からの防災対策が大切です。