銀行の音声自動応答サービス利用時の操作性
 
銀行の残高照会や振込サービス、家電メーカーの相談対応、宅急便や郵便配達の不在時対応などを電話で受けつけ、音声で自動応答するシステムを導入するところが多くなっています。このような電話での自動案内サービスの使いやすさや問題点を把握するため、銀行の振込サービス(3種類)を対象にモニターテストを実施しました。
(モニター:高齢者(65〜75歳)9人、若年者(19〜32歳)9人 計18人)
  
  銀行の電話による自動振込サービスのうち、次の3種類の方法についてモニターテストを実施しました。

  (A)プッシュボタンのみで操作するもの
  (B)プッシュボタン操作と一部を音声認識で応答するもの
  (C)オペレータとの対話とプッシュボタンで操作するもの
 
初めての利用時には失敗することも
  初めて振込サービスを利用したとき、全員が一回で振込ができたのは(C)のサービスだけでした。(A)は、若年者78%(7人)、高齢者67%(6人)が一回で振込みでき、(B)は、 若年者で67%(6人)、高齢者では54%(5人)でした。やり直し5回以内には全員が振込できましたが、何の知識もなくサービスを利用した場合、(A)と(B)は誰でも簡単に振込できるわけではないものと考えられます。
 
どれぐらい失敗するのか

  各サービスにおいて、モニターが振込できるまでどれぐらい失敗(番号入力の間違い、タイミングのズレなど)しているか、若年者・高齢者別に調べてみました。

図 各サービスにおける一人当たりの失敗回数(平均値)

 
  その結果、(B)のサービスが、入力する時のボタン操作や発声のタイミング上の失敗などで、最も失敗が多くなっていました。
 
利用したいと思う人は
  モニターに、各種音声の自動振込サービスを「今後利用したいと思うか」と聞いたところ、(A)と(B)は、半数近くの人が利用したくないと回答していました。
 
  A B C
利用したくない 44%(8人) 44%(8人) 17%(3人)
どちらとも言えない 22%(4人) 44%(8人) 56%(10人)
利用したい 33%(6人) 11%(2人) 27%(5人)
表 各サービスの利用意向
 

  自動応答振込サービスは、事業者にとっては24時間体制でサービスを提供でき、コスト削減につながる有効なサービスと考えられますが、利用者にとっては必ずしも簡単で使いやすいサービスにはなっていません。特に高齢者は、多くの人が抵抗を感じていました。
  音声の自動応答振込サービスは、パソコンなどの知識がなくても電話一つで操作できるため、様々な人の利用が想定され、今後、ますます進展していくものと考えられます。
  事業者は、利用者の意見を取り入れるなど、利用者の視点に立ち、使いやすいサービスとなるよう改善していくことが望まれます。