洗濯物の効果的な室内干し

ライフスタイルの変化から、夜に洗濯し、室内に洗濯物を干す人が増えているのではないでしょうか。また、梅雨時は室内に干す機会も多くなります。しかし、洗濯物を室内に干すことは、部屋の結露やカビの発生、洗濯物の異臭などの原因になると言われています

そこで、一般県民を対象にアンケート調査を実施し、室内干しの実態を探るとともに室内で洗濯物をより早く乾かす方法について検証しました。

楕円: ア ン ケ ー ト 調 査

【調査時期】   平成17年5〜6月

【調査対象】   一般県民 685人

【有 効 票】   417 票(有効回収率60.9%)

    8割の人が室内干しを行っている 
「室内干しをする」人は82.5%(344人)で、その理由〔複数回答〕は「雨天で洗濯物が干せない時」81.4%(280人)、「冬季、外で洗濯物が乾かない時」52.0%(179人)など、天候や季節による理由が上位を占めていました。
図1 室内干しをする頻度
図2 室内干しをする理由(N=344)〔複数回答〕
      早く乾かす工夫を「何もしていない」人が多い◆
室内干しをする主な場所は「居間」50.3%(173人)、「浴室」26.5%(91人)などです。そして、洗濯物を早く乾かす工夫として、『居間』では、「窓を開ける」が27.2%(47人)、「除湿機で除湿する」が19.7%(34人)、「エアコンを使用する」が16.2%(28人)となっていましたが、「特に何もしていない」が38.2%(66人)と最も多い結果でした。『浴室』では「浴室乾燥機を使用する」59.3%(54人)「窓を開ける」19.8%(18人)などが挙げられていました。
図3 洗濯物を早く乾かす工夫(部屋別)*は複数回答
   気になることは「カラっと乾かない」「臭うことがある」が上位 
室内干しで気になることは、「洗濯物がカラッと乾かない」が76.5%(263人)、「洗濯物が臭うことがある」が59.6%(205人)で上位を占めました。
角丸四角形: 洗濯物が臭うのは?
洗濯しても落ちなかった汚れが原因となって生じるアルデヒドや脂肪酸などの複合臭で、中でも中鎖脂肪酸が独特の酸っぱく汗っぽい臭いの構造成分であると報告されています。洗濯物の湿った状態が長くなると、雑菌の繁殖がすすみ、そのために、よりニオイ成分が生じやすくなることや臭うことも知られております。室内干しにおいては洗濯物を短時間に乾燥させることが重要です。
図4 室内干しで気になること(N=344)〔複数回答〕
楕円: 検 証 実 験 
    テスト内容 ◆
3種類の洗濯物について、扇風機による風の有無、ハンガーの種類、洗濯機の脱水時間の違いによって乾燥度合がどのように変化するか調べました。
【洗濯物の種類】 @「速乾シャツ」A「綿シャツ」B「トレーナー」
【扇風機の風量】 @「なし」 A「弱」    B「中」
【ハンガーの種類】@「針金」 A「分厚い」 B「丸い」
【脱 水 時 間】@「5分間」(標準)    A「9分間」

「針金ハンガー」  「丸いハンガー」  「分厚いハンガー」

写真 恒温恒湿室の実験風景
(トレーナー)
    扇風機で風を当てると、乾燥時間が大幅に短縮 
−「綿シャツ」では2〜3時間以上− ◆
乾燥度合(洗濯物に残った水の割合)が1.0%未満になるまでの時間は、「綿シャツ」の場合、扇風機の風を当てると2〜3時間以上早くなりました。「速乾シャツ」では1.5〜2.5時間早くなりました。また、7時間干しても乾かなかった「トレーナー」(乾燥度合:8.3%)でも、6時間風を当てることでかなり乾燥度合(3.9%)がよくなりました。
図5 速乾シャツの乾燥度合(脱水9分間の場合)

    室内干しの扇風機の風量は「弱」が適当 ◆
比較的乾きやすい「速乾シャツ」と乾きにくい「綿シャツ」では、扇風機の風量(「弱」と「中」)による顕著な差はみられませんでしたが、非常に乾きにくい「トレーナー」を「丸いハンガー」に干した場合には、風量「中」の方が「弱」に比べ、乾く時間が早くなりました。乾きやすい「シャツ」などは、むやみに風を強く当てる必要はなさそうです。

図5 速乾シャツの乾燥度合(脱水9分間の場合)
    ハンガーの種類により乾燥度合に差がある◆

洗濯物に風を当てない(扇風機を使用しない)場合、速乾シャツと綿シャツは「針金ハンガー」に干すより「分厚いハンガー」に干した方が、乾燥時間は30分以上早くなりました。しかし、扇風機の風を当てると、どちらも乾きが早くなり、ハンガーの種類の違いによる差は認められません。

なお、トレーナーの場合は「丸いハンガー」に逆さに吊り干した方が乾燥時間は早くなりました。

アンケート結果では、「針金ハンガー」を使用している人が41.9%(144人)と最も多くいましたが、乾きの早い速乾シャツは「針金ハンガー」でもよいのですが、綿シャツは「分厚いハンガー」を、「トレーナー」は「丸いハンガー」に干すなど、使用するハンガーを使い分けた方が早く乾かすことができます。

   乾きにくい洗濯物は脱水を長めにすると、乾く時間は早まるが、

しわになりやすいものは注意が必要 

「速乾シャツ」、「綿シャツ」の場合、脱水時間を通常の「5分間」から、「9分間」と長く脱水すると、乾燥時間が30分程早くなり、「トレーナー」の場合も同様でした。ただし、しわになりやすいものは注意が必要です。

図6-1 綿シャツの乾燥度合
(脱水5分間の場合)
図6-2 綿シャツの乾燥度合
(脱水9分間の場合)
図7 トレーナーの乾燥度合(脱水5分間の場合)

角丸四角形: 室内で洗濯物を早く乾かすポイント
@	脱水時間を標準より長く(「9分間」)する。
A	扇風機の風量を「弱」で、洗濯物に風を当てる。※
〔扇風機(風量「弱」)の電気料金は、6時間で2円程度です。〕
B	乾きやすいものは「針金ハンガー」に、綿シャツは「分厚いハンガー」、トレーナーは「丸いハンガー」に逆さ吊り干す。
C	ハンガーの間隔を10cm以上あけて干す。

※部屋の湿度が高く、扇風機の使用だけでは十分乾かない場合には、
「エアコンや除湿機で部屋の除湿を行う」「衣類乾燥機等で洗濯物を乾燥する」「洗濯物にアイロンをかけて乾かす」などが必要です。