停止していた電池式注油ポンプが突然作動!
 
 「電池式注油ポンプが留守中に勝手に作動し、灯油タンクから灯油を噴出させた」という相談が寄せられました。火災につながる危険性もあることから、その原因を調べました。
  電池式注油ポンプが作動し灯油が流れ出た
 電池式注油ポンプを灯油ポリタンクに入れたまま保管していたところ、4ヵ月後の7月に、吐出ホースから灯油が流れ出て、ポリタンクの灯油が残り少なくなくなっているのに気づいた。原因を知りたい。 (丹波の森公苑 受付)
   この注油ポンプは、吐出ホース口に油量センサーが付いており、センサーが灯油に浸かるとポンプを自動的に停止する構造です。
 相談者に確認すると、電源スイッチは「ON」のままだったということから、事故前は自動停止装置によってポンプが停止していたと考えられます。
   【苦情の電池式注油ポンプ外観】
苦情の電池式注油ポンプ外観写真
  原因は温度変化
   使用状況から、自動停止装置が何らかの理由で解除されたため注油を開始したと考えられます。そこで、苦情品の注油ポンプの手元スイッチ部に温度変化を与えてみたところ、苦情内容と同様の現象が再現されました。
 このことから、
@本体の電源スイッチが「ON」の位置だったにもかかわらず、自動停止装置によって停止して いた電池式注油ポンプの本体が温まったことにより、スイッチの内部金属板の接点が離れ  て「OFF」の状態になった。
Aそのため、自動停止装置が解除された。
Bその後、本体が冷えてスイッチの内部金属板の接点が接触したことから再び「ON」の状態 になり、注油を開始した。
ために、灯油が流れ出したと考えられます。
 事故は7月に発生しており、保管していた倉庫内の気温は30℃以上になっていた可能性が高く、昼夜の温度差がこの現象を招いたと考えられます。
【熱による自動停止状態の解除】
実験写真 温風を1秒間当てると
電源接点がOFF状態になり、
自動停止装置が解除される
実験写真 3秒後、本体が冷えて電源の
接点が再びON状態になり、
注油を開始する
自動で停止しても、電源スイッチはOFFに!
 今回の事例は、電源スイッチを「OFF」の位置にしておれば、起きなかったと思われます。相談者はスイッチ部分の表示が分かりにくかったため、「OFF」にしなかったようです。確かに、苦情品の「ON」「OFF」表示は、本体と同色材の凹凸による文字で、表示が見づらかったことも事故につながった原因の一つであることから、メーカーにはスイッチの状態が一目で分かるような改善策を要望しました。
 消費者も、予期せぬ事故に備えて、「自動停止した注油ポンプの電源スイッチは『OFF』にする」、「使用後は、灯油タンクから注油ポンプを抜く」などの注意が必要です。