晴雨兼用傘の実用性

日傘に、はっ水加工を施した晴雨兼用傘が数多く販売されています。不意の雨には便利ですが、降雨時の実用性が気になるところです。そこで、晴雨兼用傘10銘柄と専用日傘、雨傘核1本を、31日間※屋外にさらし、@紫外線カット率A耐漏水性Bはっ水性等について変化をみました。
(テスト実施期間:平成17年7月〜11月)
※晴雨兼用傘を2年間、6〜8月に毎日1時間使用した場合を想定して日照時間を試算した日数

 
紫外線カット率の変化はなし
晴れた日の屋外で紫外線カット率を測定した結果、屋外に曝し続けても、晴雨兼用傘と日傘の紫外線カット率は100%を保ち、紫外線遮蔽性の低下はありませんでした。なお、雨傘の紫外線カット率は新品時から、やや低い結果でした。
 
刺繍やすかし模様などの傘は水滴が落ちることも
 やや強い降雨状況(毎時降雨量20o)を人工的につくり、約20分間降雨させて、傘内部への伝水や水滴数を調べたところ、傘外周などに施された透かし模様や刺繍など、デザインによっては、その部分から水滴が落ちる商品もありました。生地や縫い目に関しては、ごくわずかに水滴が生じたものもありましたが、短時間の使用には問題ないと考えられます。
 
はっ水性は高い
 生地に水を散布し、水滴の付着や生地の湿り具合を確認した結果、はっ水性の低下する商品があるものの、日本洋傘振興協議会(JUPA)の雨傘の品質基準と同等のはっ水性は保持してました。一方、日傘は新品でも生地に水が染み、晴雨兼用傘が明らかに日傘よりはっ水性の高いことが確認されました。

濃い色の傘生地は変退色が激しい
 試験前後の傘生地の色の変化を見ると、黒色のものは変退色が著しく、色あせていました。同一商品でもクリーム色やピンク色などの淡い色では変退色が少なく、生地色の濃淡によって、変退色に差が認められました。
 ただし、変退色が生じても紫外線カット率に変化はありませんでした。

ひとことで言うと
晴雨兼用傘は日傘と雨傘の両方の機能を備えた傘というよりも、とっさの降雨の際に使用できる日傘と認識をしておきましょう。
水滴が落ちることもある
「刺繍」のある傘  「すかし模様」の傘
【表1】 晴雨兼用傘の耐漏水性の試験結果

商品No

価格
(税込み)

傘生地の組成(%)
(本体部分)

31日間屋外にさらした後の耐漏水性

伝水

水滴

その他

@

6,300

ポリエステル60綿40

なし

生地:微小な18

A

5,250

綿100

なし

生地:微小な7

透かし模様から水滴がぬれ落ちた

B

黄緑

なし

なし

透かし模様から水滴がぬれ落ちた

C

5,250

100

なし

なし

D

4,095

ポリエステル65綿35

なし

なし

刺しゅうから水が染み出した(滴り落ちはしなかった)

E

クリーム

なし

なし

刺しゅうから水が染み出した(滴り落ちはしなかった)

F

3,990

綿100

なし

なし

G

水色

なし

なし

H

3,045

ポリエステル50綿50

ピンク

なし

なし

I

1,990

ナイロン100

なし

なし

日傘

1,995

綿100

なし

なし

全体に染みこんでいる状態

雨傘

1,995

ポリエステル100

ピンク

なし

縫目:6

生地が水滴を弾いていない状態