乾電池のトラブル
 乾電池は、日常生活用品に多く用いられている身近な商品です。取り扱いも簡単ですが、場合によってはやけどなどの意外な事故やトラブルが発生する可能性もあります。
 乾電池を使用する上での注意として、「向きを間違えて機器に装てん(挿入)」しない」「充電しない」などは、一般的によく知られていると思いますが、乾電池自体の異常による、思わぬトラブルが発生することもあります。
乾電池のトラブル事例
 
 「電池式エアーポンプに、購入したばかりのマンガン乾電池4本を入れて、家庭用プール(ビニール製)を膨らませていたところ、始動から約5分後、ポンプから音がしなくなり、プールが膨らまなくなった。電池ボックスのフタを開けて、乾電池を確認しようとしたとたんに、1本の乾電池の+極が隆起し(写真1)、熱くなった中身が飛び散って顔や手に火傷を負った。」
 (姫路生活科学センター受付)
写真1
発売元:
(株)タヤ製作所

製品名:
アロビータ
マンガン乾電池
単1形
写真1 +極が隆起し中身が飛び出した乾電池
   生活科学研究所で、苦情品と同じ銘柄の乾電池を用いて、事故状況の再現テストを試みましたが、同様の状態は再現されませんでした。そこで、機器の異常などを想定して、ショート(※1)や逆装てん(※2)など、より過酷な条件によるテストも実施しましたが、同様の状態にはなりませんでした。ただし、参考までに、他メーカーのマンガン乾電池と苦情品と同銘柄の乾電池を使って再現テスト及びショートや逆装てんのテストを複数回実施した結果、苦情品と同銘柄の乾電池は、テスト後の液漏れや膨張の発生が多く見られ、品質が安定していないことが分かりました。
 また、苦情品の乾電池のX線写真を見ると、内部に多量のガスが発生した様子が確認されました(写真2)。これらのことから、苦情品の乾電池自体に、何らかの異常があったものと考えられます。そこで、この乾電池の事故防止対策と購入者への注意喚起を当該センターから発売元に対して要望しました。もし、同様の乾電池によるトラブルが起きた時は、最寄りの消費生活相談窓口まで申し出て下さい。
 
写真2 苦情品の乾電池のX線透過写真
  異常に気づいたら
   電池を使う機器の動作が不安定になったり、すぐに止まった場合は、電池の異常も考えられます。ただちにスイッチを切り、発熱している場合は使用を避け、冷めるまでは取りださないなど取り扱いに注意してください。
 また、液漏れしている電池は、化学やけどなどの皮膚障害を引き起こす可能性があります。絶対に素手でさわらないようにしましょう。
 
※1「ショート(短絡)」とは
・・・何らかの異常で+極と−極が直接つながってしまうこと。結果的に大電流が流れる。
※2「逆装てん」とは
・・・本来の+−の向きとは逆向きに機器に挿入すること。機器の動作が不安定になるだけでなく、逆向きの電池は他の電池により充電される。