豆腐中の遺伝子組換え大豆混入状況
 兵庫県消費者団体連絡協議会の食の安全・安心チェック活動によると、ほとんどの豆腐には原材料の大豆は「遺伝子組換えでない」と表示されていました。世界の大豆の約6割が遺伝子組換え大豆であり、輸入に依存している日本の現状から、市販豆腐の遺伝子組換え大豆の混入状況を調べ、表示内容を確認しました。   (実施時期:平成18年11月〜平成19年2月)
 
選択の目安のための表示制度
 国内では「最新の科学的知見に基づく評価で安全性に問題がない」と判断された遺伝子組み換え食品の輸入等を許可しており、消費者が選択できるように、食品衛生法・JAS法により表示制度が設けられています。表示義務の対象となる農産物は、大豆(枝豆、大豆もやしを含む)、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、てん菜の7種類の農作物とこれを原材料とした32品目の加工食品で、大豆加工品の豆腐も表示対象となっています。

遺伝子組換え食品の表示義務
 遺伝子組換え食品は表示が義務づけられていますが、遺伝子組換え食品でない場合、遺伝子組換えに関する表示の義務はありません。ただし、任意で「遺伝子組換えでない」旨の表示をすることができます。
【表1 遺伝子組換え食品の主な表示ポイント】
●遺伝子組換え農産物を使用している場合
→「遺伝子組換え」(義務表示)
●生産、流通、加工等の過程で遺伝子組換え農産物が混ざっている可能性がある場合
→「遺伝子組換え不分別」(義務表示)
●遺伝子組換え農産物を使用しておらず、混ざっている可能性もない場
 合
→遺伝子組換えについて何も表示なし
→「遺伝子組換えでない」(任意表示)
【任意表示例】
名称 豆腐
原材料 大豆(遺伝子組み換えでない)、○○、△△
内容量 300g
消費期限 ○年△月×日
保存方法 要冷蔵、10℃以下に保存
製造者 ○○食品株式会社
兵庫県○○○市○○○
「遺伝子組換えでない」の表示でも混入
 県内で豆腐35銘柄を各3点購入し、DNA検出テストを行った結果、3点中1点でも遺伝子組換え大豆が検出された豆腐は35銘柄中20銘柄でした。このうち、3点全てから検出された11銘柄の遺伝子組換え大豆の含有率を調べた結果、7銘柄は検出限界以下(0.1%未満)でしたが、4銘柄は0.1%〜1.7%でした。なお、この4銘柄には大豆の原産地表示はありませんでした。
 遺伝子組換え大豆が検出された20銘柄の表示を確認すると、「遺伝子組換えでない」との表示は19銘柄、表示のない商品が1銘柄でした。
  十分に管理しても、大豆、とうもろこしは生産時や倉庫、輸送車両での遺伝子組換えの混入を完全に防ぐことができないとして、「意図せざる混入」として「5%以下」の混入は止むを得なしと認められています。
【表2 遺伝子組換え」表示と検出試験の結果】
表示内容 銘柄数 検出銘柄数
「遺伝子組換え」
「遺伝子組換え不分別」
「遺伝子組換えでない」 33 19
表示なし
合計 35 20
消費者が誤解しないような表示の改善を
 今回のテスト結果では「遺伝子組換え大豆を使用せず」との表示があったにもかかわらず、5%以下ではありますが、混入していました。「遺伝子組換え大豆が全く入っていない」と消費者が誤解しないような、正確な表示が望まれます。県では、表示制度の改善を国に要望しています。
遺伝子組換え食品って何?
生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出して組み込んだ農産物や、これを原材料とした加工食品のことです。例えば、除草剤でも枯れない遺伝子や害虫に強い遺伝子などを組み込みます。国内では商業的に栽培されていません。