高齢者の自転車の安全利用調査
 高齢者の自転車乗車中の交通事故が増加しています。とりわけ、死亡者の約6割を高齢者が占めるなど、事故の内容は深刻です。そこで、60歳以上の高齢者を対象に、自転車の安全利用についてアンケートを実施しました。(実施時期:平成17年11月)
 
利用者の3人に1人が事故を経験
 
 調査した高齢者185人のうち、自転車を利用していたのは62%(115人)でした。そのうち過去3年間に転倒や接触など、何らかの事故を経験していたのは32%(37人)で、事故を起こした人の半数が、事故原因は「自分の乗り方が悪かったため」と答えています。
図1 事故原因(自己申告)(複数回答:N=37人)
事故原因グラフ
 
自転車の乗りやすさと事故の関係
 過去3年間の事故経験者のうち、利用している自転車が「乗りやすい(やや乗りやすいを含む)」と答えた人は27%でしたが、「乗りにくい(やや乗りにくいを含む)」と答えた人は48%と高くなり、乗りにくい自転車は、事故を起こしやすいようです。また、「乗りやすい」と答えた人の67%(35人)が自転車専門店で購入しており、専門家によるアドバイスを受けたためと考えられます。
図2 自転車の乗りやすさと事故経験(N=115人)
自転車ののりやすさと事故経験 グラフ
高齢者が望む利用しやすい自転車の条件
 利用しやすい自転車の条件として次の4項目が上位にあがっています。
 @ ペダルをこぐのが軽い
→ 変速付き自転車はペダルが軽くなりますが、ギアチェンジの煩わしさやペダルを踏む回数が増えます。電動アシスト(補助)自転車の活用が考えられます。
 A 車体が軽い
→ 車体が軽いと扱いやすくなりますが、強度や操作性などの安全性を確保していることが必要です。
 B ブレーキの効きがよい
→ ブレーキの効きが悪くなることがあるため、定期的な点検が不可欠です。
 C 乗り降りしやすい
→ フレームを低く設計した自転車が出回り始めました。
図3 高齢者が望んでいる自転車(複数回答:N=185人)
 安全で快適に自転車を利用するには、自転車技師(自転車組立整備士)や自転車安全整備士などの専門家のいる販売店で自転車選びのアドバイスを受けたり、日頃から整備・点検を行うことが何より大切です。