家電製品の報知音と音声案内
 
 家電製品には操作した時や作業の終了を「ピー」といった電子音で知らせる(報知音)だけでなく、操作手順や操作結果を言葉で案内(音声案内)する製品が販売されています。その実用性について炊飯器を用いたモニター実験を行いました。
                  (実験実施時期:平成17年8月〜11月)
  

【モニター実験内容】

報知音と音声案内の両方の機能が付いた炊飯器を使用し、予約炊飯の設定作業を5通り(米の種類、炊き具合、予約時間の組み合わせ)行い、報知音のみで操作する場合と報知音と音声案内の併用で操作する場合との違いを、@操作中の気分や感想などの心理面とA操作時間や誤操作回数などの行動面から評価した。
 モニター:19歳〜79歳の男女39名  


 
操作ミスのとき、音声案内はイライラしやすい
 報知音だけより、音声案内併用のほうがイライラしやすいようですが、どちらも操作に馴れるとイライラ感は低下しました。
 音声案内併用の場合は間違えて同じボタンを何度も押すことにより、同じ音声案内を繰り返し聞くことになるため、かえってイライラするという意見が多く聞かれました。


 
操作完了時の音声案内は煩わしく感じない

 予約時間設定時と機器の操作の完了時のわずらわしさを比較すると、設定した内容を確認する音声案内、例えば「白米、かため、7時に炊き上がります」などには、それほど煩わしさを感じていませんでした。一様に音声案内を煩わしく感じるわけでなく、操作が正しくできているかどうかを確認できる最終的な案内は実用的といえます。

 
使い勝手のよい音声案内の開発が必要
◆次の操作を案内する音声が有効
 落ち着いて機器を操作するには、行った操作
の内容の確認ではなく、次に行う操作をわかりやすく誘導してくれる音声案内が必要です。
◆ガイドラインの作成を
 報知音にはガイドライン(JIS)があり、高齢者や障害者特性を考慮した音づくりがおこなわれていますが、音声案内にはガイドラインはありません。使用者の操作中の気分や使い心地、誤操作を防ぐなど心理面や行動面からの音声案内の開発が望まれます。