家庭用生ごみ処理機の室内での実用性
 
 各家庭の生ごみは、悪臭だけでなく、廃棄処理にも大きな負担がかかっています。生ごみを減量し、堆肥化するという家庭用生ごみ処理機等が販売され、普及が期待されます。そこで、室内での使い勝手について、県民グループと共同研究しました。
                   (実施時期:平成18年7月〜平成19年2月)
 
4つの処理方式をテスト
 家庭用生ごみ処理機等は大別すると、熱風で水分を飛ばして乾燥する「乾燥式」、微生物を利用して分解する「バイオ式」、高温下で活動する微生物を利用して分解する「高温バイオ式」があります。これらは、いずれも電気を使って生ごみを自動的にかくはんしますが、電気を使わず「EM菌」と呼ばれる嫌気性微生物を用いて分解する方式もあります。
 今回、処理方式の違う4種類の生ごみ処理機を使って、4人家族が一日に排出する三角コーナーの水切りかご1杯分の生ごみ700g(生野菜、魚肉類、穀類等)を4日間連続投入した後、処理の特性の違いをテストしました。(表参照)
 
使い勝手やランニングコストに差
 処理方式により、ランニングコストや処理時間、生ごみの減量率、臭いの程度、処理物の堆肥利用の可否等に大きな違いが見られました。
生ゴミ処理機 写真 生ゴミ処理機 写真 生ゴミ処理機 写真 生ゴミ処理機 写真
【乾燥式】  【バイオ式】 【高温バイオ式】 【EM菌処理容器】
各方式の特性
【乾燥式】
   処理時間は約2時間と短いが、排気熱が発生する。
【バイオ式】
   減量効果は大きいが、バイオ基材の交換が必要で、ランニングコストが最も高
  い。常時運転音がし、多少、基材の臭いがする。
  (*バイオ基材とは:微生物による分解条件を保つために使用される多孔質状
   の木質材や活性炭などのこと。)
【高温バイオ式】
   分解効率がよく、堆肥として利用しやすいが、処理物が固まるとバイオ基材交
  換が必要。
【EM菌方式】
   電力を利用しないため、初期コスト及びランニングコストが最も安価で、騒音も
  ないが、分解に時間がかかり、処理物の臭いが強い。
生ごみの投入方法の工夫で効率よく
 悪臭の発生を押さえ、効率よく利用するには、十分水切りした生ごみを小さく切って投入し、量やごみの種類を調整することも大切です。購入時は、各方式の特性を理解し、手入れ方法やランニングコストなどを比較検討するとともに、購入助成している自治体もありますので活用を考えましょう。今後、家庭用生ごみ処理機の普及には、性能、操作性、コストなどの一層の改善が望まれます。

  

乾燥式

バイオ式

高温バイオ式

EM菌方式

購入価格 

51,900

48,000

48,500

1,890

処理時間

約2時間

処理が継続

約5.5時間

処理が継続

24時間後の重量

18%

36%

29%

93%

1ヶ月の維持費

736円

1,312円(通常使用時)

716円

319円

@ 年間の電気代 

A年間のバイオ基材等費用

@8,833円

A ―

@3,145円 (通常使用時)@11,082(常時脱臭ON時)A6,300円×2=12,600(6ヶ月毎に交換)

@8,595円

A基本的には不要

@ ―

   A 3,833

運転時の音※1

43dB

33dB

36dB

においレベル測定値※2
(数字が大きいほど悪臭度が高い)

(運転時の臭い)
20−25
(処理物の臭い)
150−200

(運転時の臭い)
30−35
(処理物の臭い)
120−150

(運転時の臭い)
20−25
(処理物の臭い)
180−220

(処理時の臭い)
10
(処理物の臭い)
550−65

堆肥原料への利用

不可※3

※3 今回のテスト機種は、生ごみの塩分や油分の影響を考慮し、堆肥として使わないように指示があった。
※1 騒音の大きさの事例
30dB
40dB
50dB
ささやき声
図書館の中
普通の事務所の中
※2 においレベル参考測定事例
刻んだ生たまねぎの臭い
刻んだ生ニンニクの臭い 
漬物(ぬか漬け)の臭い 
ブルーチーズの臭い
170-190
200-250
450-500
650-720