クリーニング店の窓口対応に関する調査
 クリーニングは生活に欠かせないサービスですが、トラブルも絶えません。消費者の目の前でサービスが行われず、処理前後の品物を比較できないなど、その特殊さゆえ、トラブルの解決が困難な場合も多々あります。トラブル対策のため、平成16年10月にクリーニング業法が改正されて2年以上経過しましたが、クリーニング窓口での対応の変化やトラブルが生じる背景などについて、県民のみなさんとクリーニング店を対象にアンケートを実施し、現状の問題点をまとめました。              調査時期;平成18年10月 
 
【消費者調査】 調査対象;兵庫県民 
 (配布300票:回収票214票・回収率71.3%)
【クリーニング事業者調査】 調査対象;兵庫県内の営業店舗 
 (配布520票:回収票165票・回収率31.7%)
クリーニング業法改正後の窓口対応
窓口対応に大きな変化はない
 クリーニング業法改正後の最近2年間の変化について、事業者は「改正後、とりたてて努力している点はない(59.4%)」、消費者は「改正後も受付窓口の対応は変わらない(80.4%)」と答えており、法改正がクリーニングサービスの現状に大きな変化を与えていないといえます。
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図1 消費者から見たクリーニング業法改正後の受付窓口対応の変化 〔消費者計214人〕
洗浄方法を積極的に説明している事業者は3割
 改正クリーニング業法では「事業者は洗浄方法などを説明するよう努める」としていますが、実際のクリーニング窓口での対応は、事業者調査で「消費者から尋ねられなくても詳しく説明している」は、30.3%、一方、消費者調査では「尋ねなくても詳しく説明してくれる」が12.1%、「尋ねた場合にのみ詳しく説明してくれる」が53.3%であり、積極的に説明しているとはいえませんでした。
「名称・所在地・電話番号」の店頭掲示は6割
 苦情申し出先(所在地、電話番号等)を店頭掲示することと書面を配布することが義務付けられましたが、店頭掲示を行っている事業者は61.8%、また、「書面をもらっている」と回答した消費者は70.1%に止まりました。法施行2年を経過し、まだ、店頭掲示と書面配布を行っていない事業者もあり、徹底が望まれます。
クリーニング業法の改正ポイント
トラブルのとらえ方が異なる消費者と事業者 
消費者  クリーニングによる「プラス」変化を期待
 消費者調査対象の約半数の106人が何らかのトラブル経験があり、トラブルで最も多かったのは「汚れが落ちていない(44.3%)」、次に「アイロン仕上げの不満(23.6%)」、「風合いが悪くなった(18.9%)」、「店員の態度や説明が不親切(14.2%)」でした。
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 図2 消費者が経験したトラブル
〔トラブル経験者計106人:複数回答〕
消費者が注意すれば減らせるトラブルも
 消費者調査では約4割(42.1%)の90人がトラブルを防ぐには、消費者の注意も必要と考えていました。注意すれば減らせるトラブルとしてあがったのは@「包装袋保管中の変色(62.2%)」A「付属品の紛失(23.3%)」B「汚れが落ちていない (13.3%)」などでした
事業者  「マイナス」変化をトラブルと考える傾向
 事業者調査対象の77.0%の127事業者がトラブルの経験があり、その内容は「変色、色落ち(43.3%)」「シミの付着(39.4%)」「縮み(35.4%)」をあげており、トラブル内容が消費者とは異なっていました。
 これは、事業者はクリーニングを行うことによって、預かり時の状態からマイナスに変化があった場合をトラブルと考えているのに対して、消費者は、預けた時の状態よりもプラスに変化することを期待しており、その期待に添わないものをトラブルとしているためと考えられます。
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 図3 事業者が経験したトラブル
〔トラブル経験のある計127事業者:複数回答〕
望まれる事業者の意識改革
多くの事業者は、「受付時の対応で減らせるトラブルもある」と考えている
 事業者調査では、事業者の78.2%が受付窓口での「検品作業や消費者への説明」があれば、トラブルが減少すると考えていました。防止できるトラブルとしては、@「破れ、穴あき、破損(45.1%)」、A「シミの付着(42.1%)」、B「変色、色落ち(36.1%)」などで、これらは、事業者がトラブルの上位にあげていた内容です。
 また、ほとんどの事業者は「クリーニング後に品質低下の可能性のある衣類は断ることがある(84.2%)」と回答していました。洗浄が難しい衣料品の存在が背景にあると考えられます。
クリーニング店が受付けで特に注意する品
「洗浄方法の説明」と「検品」の重視を!
 事業者が営業上、特に重視していることは「洗浄技術や仕上げ」が最も多かった(60.0%)が、「受付窓口での検品」は半数以下(42.4%)であり、「洗浄方法に関する説明」では「重視していない」と回答した事業者は約4分の1を占めました。
 トラブルの減少には「検品」や「洗浄方法の説明」などを重視する意識改革が事業者に望まれます。
グラフ
図4 事業者の営業上の重視項目
     〔計165事業者:項目別〕
クリーニング利用の際のポイント
@  クリーニング品はできるだけ早く引き取って、衣類の状態を確認し、付属品やシミ、破損など気になる点があれば、すぐに店に連絡しましょう。
A  衣類が変色することもあるので、保管時は袋やカバーをはずしましょう。
B  (財)全国生活衛生営業指導センターの登録を受けた店舗(Sマーク掲示店)とクリーニング生活衛生同業組合の加盟店(LDマーク掲示店)では「クリーニング事故賠償基準」を設けています。店選びの参考にしましょう。
クリーニング事故賠償基準の一部概要 Sマーク LDマーク
【Sマーク】 【LDマーク】