背面の壁を焦がした電気オーブンレンジ
 
「電気オーブンレンジの背面の壁クロスが焦げた」という相談が寄せられ、安全性に問題があることから、原因究明を行いました。
 5年前に購入した電気オーブンレンジを買い替えるため、レンジ台から下ろしたところ、オーブンレンジの真後ろの壁クロスが一部焦げていた。原因を知りたい。 
(あかし消費生活センター受付
 相談者によると「電子レンジ調理中にパチパチという音がしたため買い替えようと思い、レンジ台から下ろしたところ、真後ろの壁の焦げに気づいた」とのことです。
焦げた個所はレンジ排気口の真後ろ
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【相談者宅の壁の焦げ】
 設置場所と壁(ビニールクロス)を確認したところ、ちょうどレンジの排気口の真後ろに直径5cmの焦げがあり、ビニールクロスの中心は溶けてはがれていました。
 苦情品の排気口にサビがあったものの、他に異常はなく、庫内には油などの汚れは付いていましたが、炭化した付着物は見られませんでした。
 使用状況を確認したところ、使用を開始してから数年後にターンテーブルが回らなくなったため、一度修理に出していましたが、相談者が直接庫内を触ったことはありませんでした。
電子レンジ加熱に異常は見られない
 苦情品を用いて、電子レンジ加熱状態を確認した結果、パチパチという音は再現されず、加熱状態に異常は認められませんでした。しかし、庫内のヒーター反射板のふちに、スパーク痕のような焦げが見られたことから、この部分で放電が起き、音がしたと考えられます。
反射板取り付けに誤り 
 苦情品の庫内を調べたところ、本来なら反射板はレンジ庫内の上部のヒーターの上側にセットし、ヒーターの熱を下方向に反射して食品を加熱させる仕組みになっていますが、苦情品は反射板がヒーターの下側に取り付けられていました。
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誤って上ヒーターの下側に取り付けられていた反射板
【庫内上部】     
原因は庫内の天面への反射熱
 当研究所で確認テストを行った結果、オーブン加熱を15分間行ったときの排気口温度は、正常な取り付けの場合174.3℃でしたが、誤った取り付けでは237.9℃と高温になっていました。このことから、クロスの焦げの原因は、反射板がヒーターの下側にセットされていたためにヒーターの熱が庫内の天井面に反射し、排気熱が高温となって、壁のビニールクロスを焦がしたと考えられます。
付属品の取り付けを間違いやすい構造に問題 
 上ヒーター反射板の取り付け位置がどの時点で変わったかは不明ですが、取り付けを間違いやすい構造にも問題があります。
 取り外しのできる付属品は、誰もが誤った取り付けをすることがないような構造が望まれます。
製品にかかわるトラブルや事故が起きたときは、市町や県の消費生活相談窓口へご相談下さい。