ベビーカー内の環境に注意

 

ベビーカーは、乳幼児をもつ家庭では必需品です。しかし、ベビーカー内で乳幼児がどのような環境におかれているか、あまり意識されていません。そこで、ベビーカー内の環境に注目し、夏の温度上昇や、雑踏の中での粉塵量などを測定し、利用上の注意点を考えました。

 

夏は路面からの放射熱でベビーカー内は高温に

夏季の日中(14:00)、ベビーカー内の温度は、アスファルト路面上の場合、路面からの放射熱の影響などで、押している大人の顔の位置(32.9℃)より3.5℃高い36.4℃にもなりました(気象台が発表したこの時の気温は30.9℃)。

夕方(16:00)になると、大人の顔の位置とベビーカー内の温度差は小さくなりましたが、傾いた太陽の直射日光が入り込みやすくなり、日除けの短いベビーカーは、タオルなどで日除けを追加することも必要です。しかし、前面全体を覆ってしまうと、ベビーカー内に熱がこもり、暑さ対策としては逆効果になるので、熱がこもらないように注意する必要があります。

なお、シートに工夫をこらして、通気性の良さをうたったベビーカーもありましたが、多少温度上昇を抑える効果が認められたものの、暑さを完全に抑えることはできませんでした。

 

レインカバー使用時はこまめな換気が必要

雨よけのレインカバーを装着したとき、ベビーカー内の温度は、押している大人の顔の位置の温度(雨天時:26.1℃、曇天時:25.9℃)と比較すると、わずか15分で、雨天の場合4.5℃高い30.6℃、曇天では6.7℃も高い32.6℃にもなりました。

側面に通気穴があり、カバーの下部にもすき間があいているため、密閉状態ではありませんでしたが、乳児の体温による熱が予想外にこもったと考えられます。乳児の様子に気を配りながら、レインカバーをめくるなどして、こまめに換気することが必要です。

写真 レインカバーをかけたベビーカー

粉塵量は押している大人と同程度

路面や床面に近いベビーカー内も、押している大人の顔の位置と同程度の粉塵にさらされていました。ベビーカー内の環境の方が特に悪いとは言えませんが、乳児は大人よりも免疫力が小さいので、工事現場付近や交通量の多い場所など粉塵量が多い場所では、特に注意が必要です。屋内であっても、人通りの多い場所では、多くの粉塵量を検出しました。

 

乗っている乳幼児の目線で

この他、ベビーカー内の乳児の顔の位置は、歩きタバコをする人が持っているタバコの位置に近いため、人混みの中ではさらに注意が必要です。

ベビーカー上の乳幼児は、大人の目線の感覚以上に厳しい環境におかれることを留意し、上手に利用することが大切です。