新聞購読の勧誘トラブル
 <事例>
 事例1
 玄関で「宅急便です」と言われたので、ドアを開けたところ、実は新聞の勧誘だった。「景品をプレゼントするので1年間の購読契約をして欲しい」と言われた。何度も断ったが居座られたため、根負けして契約した。半年後、引っ越すことになったので解約を申し出たが、中途解約は出来ないと言われた。 (30代 女性)

 訪問販売による新聞の購読契約は、クーリング・オフが可能です。契約書面を受け取った日を含めて8日以内であれば無条件で解約できます。クーリング・オフの期間が過ぎてしまった場合は、原則として一方的な契約の解除はできず、販売店との交渉次第ということになります。しかし、この事例では、身分を偽りドアを開けさせ、相談者が何度も断ってるにもかかわらず、勧誘員は居座り強引に契約させていることなどから、勧誘方法に問題があるとして解約を主張できる旨助言しました。
 この他、事実と異なる事を言われ契約した場合や、購読期間を定めた契約書を交わしていない場合などは、クーリング・オフ期間が過ぎていても解約できる場合があるので、お近くの消費生活相談窓口に相談しましょう。

事例2
 90歳を過ぎた一人暮らしの父が2年前に、今年から1年間の新聞購読の契約をしていた。契約当時は元気だったが、今は寝たきりの状態で新聞を取りに行くことも出来ないので解約したい。
 契約書には、契約期間や担当者名、電話番号の記載はあるが、契約者の氏名の記載はなかった。                                    (50代 女性)

 この事例では、2年前に1年先の新聞購読の契約をしています。この事例以外にも、「別の新聞を購読中だから」と断っても、「購読期間が終わってからでいいから」と何年も先の契約を結ばされるケースもあるようです。
 いったん契約を結ぶと購読期間が先であっても、契約期間を守らなければならないのが原則です。家族構成が変わったり、転居するなど事情が変わることも考えられることから長期間の契約、何年も先の契約は避けましょう。事例2では、契約書面不備を理由に契約の不成立を主張するよう助言しました。
<アドバイス>
  訪問を受けたときは、相手がどんな用件で来たのかをよく確かめ、新聞を購読する意思がない場合は、ドアを開けず、毅然とした態度で断ることが大切です。
また、新聞購読を契約する際には、契約書面をよく確認し、購読期間に誤りがないかチェックした上で、印鑑は必ず自分で押しましょう。勧誘員に印鑑を渡したところ、勝手にこちらの言った以上の購読期間を契約書に記入され、押印されたと言う事例もあります。
契約時に渡された書面は、よく読み大切に保管しておきましょう。
 なお、景品をつけるからと長期間の新聞の購読契約を勧誘される事例が数多く見受けられますが、新聞勧誘時の景品の提供については不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)第3条の規定に基づいた「新聞業における景品類の提供に関する事項の制限」により「取引価格の100分の8又は6か月分の購読料の100分の8のいずれか低い金額まで」とされています。しかし、規約を超えた高額な景品につられて契約し、契約期間中に解約を申し出ると販売店とトラブルになるケースも目立ちますので注意しましょう。
                
                                    (丹波の森公苑)
                             (婦人兵庫 20年7月号)登載分より
                         

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