アポイントメントセールスに注意 〜若いあなたは狙われている〜
【事例】
 友人の知り合いから喫茶店に呼び出され、指輪の購入を強引に勧められた。契約後、代金の半分となる20万円を消費者金融業者から借り入れて支払うよう指示され従った。後日、携帯メールでクーリング・オフをしたいと連絡をしたら、「解約の話は直接会ってするのが礼儀、一度来店するように、解約しても支払済みの代金は返金できない」と言われた。解約するには店に出向かないといけないのか。支払済みの代金は返してもらえないのか。     
                                                         (21歳・女性)


【アドバイス】
 販売目的を明らかにしないで電話やメールで「プレゼントが当たった」「あなただけにお得な情報を教える」などと喫茶店や事務所に呼び出し、商品やサービスを契約させる商法をアポイントメントセールスと言い、訪問販売の一種と見なされ特定商取引に関する法律(以下:特定商取引法)の適用を受けます。
 アポイントメントセールスで販売される商品は、宝石類や英会話教材、海外旅行、レジャー施設等のチケット割引サービス会員権等で若年層の被害が目立ちます。事務所等に呼び出されると「支払いができないので契約はしたくない」「契約はしないので帰りたい」などと断っても、「いずれは必要となる物。今のうちから少しずつ準備しておけばよい」「ローンで支払えば小遣いなどの支出を見直せば月々の支払いは可能」などと長時間にわたり言葉巧みに説得されたり、「これまで貴方のために費やした時間はどうしてくれる」などと脅したり、契約しないと帰れない雰囲気を作り、時には脅迫まがいで、心理的に追いつめるなどして契約を迫ります。なかには、クーリング・オフの申し出をすると、「解約されたら上司に叱られる」などと泣き落としをしてクーリング・オフの妨害をするケースも見られます。
 特定商取引法では、契約書面を受け取った日を含めて8日以内はクーリング・オフが可能で無条件で契約を解除することができます。 また、たとえクーリング・オフの期間が経過していても、特定商取引法では「販売目的を告げないで勧誘すること」「公衆の出入りしない場所に誘い込んで勧誘すること」「契約を断っている者への執拗な勧誘」等は禁止されており、これら販売時の禁止行為を理由に契約を解除できる可能性もあります。
 事例は相談日がクーリング・オフ期間の最終日でしたので書面によりクーリング・オフの手続きをするよう助言しました。結果、無条件で解約され相談者には後日支払い済みの20万円も返金されました。
 知らない相手から親しげに誘われても、安易に出かけて行かないようにしましょう。また、不要な契約を勧められた時にはハッキリと断りましょう。断りきれなくて契約をしてしまった場合でも、諦めず、身近な人や消費生活相談窓口に相談しましょう。

                                         (西播磨生活科学センター)
                                          婦人兵庫 21年1月号登載分より