借金問題を解決しよう
【事例】
 8年前に、自営業の資金繰りのために30万円を消費者金融から借入をした。不景気で収入が減り、今は利息分を返済するのがやっとである。税金も滞納している程生活が苦しい。弁護士や司法書士に依頼するお金はないので、費用をなるべく抑えて借金を整理したい。
  

【アドバイス】
 相談者の残債務確認のため、消費者金融業者から取引履歴を取り寄せ利息の引き直し計算(利息制限法の金利で計算しなおすこと)をしたところ、35万7千円の過払い金があることが判明しました。
 当センターが支援し、相談者本人が簡易裁判所に「過払い金の返還を求める調停」を申し立てた結果、1ヶ月後に35万円が返還されることになりました。手続き費用もわずか4千円ですみ、滞納している税金の納付の目処も立ちました。
 「調停」とは、話し合いで円満な解決を求めるものです。特別な法律知識は必要なく、双方が納得するまで話し合うことが基本なので、実情にあった円満な解決ができます。話し合いには原則二名の調停委員が解決の斡旋をしてくれるので、相手との直接交渉をしなくてもよく、また同席を避けることもできます。調停にかかる費用も、訴訟の手続きと比較すると約半額です。
 また、簡易裁判所の調停手続きを利用した債務整理の方法として、「特定調停」という方法があります。これは、生活の立て直しを図るために返済方法などを債権者と話し合う手続きです。収入が減ったりして約束通りに支払っていくことができないが、可能な範囲で返済を続けていきたいという時に、借金の残額を引き直し、返済方法を調整します。
 消費者金融大手「武富士」は9月に会社更生法の適用の申請を申し立てました。武富士に対して過払い金がある人は、裁判所が定める届け出期間内(会社更生開始決定後4ヶ月)にその金額を届け出る必要があります。しかし、多くの方がそのことを知らない間に過払い金返還請求の権利を失うという事態が、今後危惧されます。
 今回の武富士会社更生法の適用の申請をきっかけに、他の消費者金融の債務に悩んでいる人も、一人で悩まず最寄りの消費生活相談窓口に是非ご相談下さい。借金の問題は必ず解決します。
    
                                           (但馬生活科学センター)
                                           婦人ひょうご  平成22年10月号

お問い合わせ先
 生活科学総合センター
   研修広報部 企画研修課
   (078)−302−4000