太陽光発電について

 


太陽光発電を設置する家庭が増えていますが、まだ情報が十分でなく、設置に踏み切れない人も多いと考えられます。県下の設置家庭を対象に、使用実態、問題点、意識の変化などを調査しました(回収数61(回収率48.8%))。また、当研究所の太陽光発電システム(容量20kW、南南東向き、傾斜角5°・30°)の発電特性もあわせて紹介します。

 

満足度は高いが、発電量に不満を持つ人も

太陽光発電システムを設置した感想は、「大いに満足」(25%)「どちらかといえば満足」(57%)をあわせると、全体の8割を超えました。「環境に対して少しでも役立っていると思うと満足感がある」という意見もあり、コスト面以外のメリットを感じとっていることがうかがわれます。

使用上の不満については、「特にない」(49%)が最も多く、メンテナンスフリーで手間がかからない点が認められています。しかし、「思ったほど発電しない」(44%)という回答も多く、「設置前に不足していた情報は?」という問いに対して、「費用対効果・発電量と売電量」が突出して多かった(67%)ことから、情報不足で過剰な期待がされている実態がわかります。

 

設置してから環境や省エネルギーを意識

太陽光発電システム設置後の意識や行動の変化では、「発電量や使用量の確認が楽しみになった」(52%)、「環境問題や省エネルギーにさらに興味をもった」(48%)、「電気を無駄に使わなくなった」(44%)などの回答が多く、太陽光発電システムの設置が省エネルギー意識を高めることにつながったと考えられます。また、「知人や近所の人も興味を持ち始めた」(16%)は、太陽光発電システム自体の外観上のアピール度が高いことがわかります。発電する分、余分に使えるという考えが反映したと思われる「電気の使用量が増えた」は、ごくわずか(7%)でした。

 

実際の発電状況は

同じ期間(2002.4〜2003.3)の発電データを持っていた8名の発電状況を調べたところ、システム容量1kWあたりの発電量は889.1〜1,246.0kwh(平均1,074.6kWh)と、設置条件などにより、大きな差がありました。

発電量には、発電パネルの向きや傾斜角、季節など、様々な条件が影響します。

当研究所の太陽光発電システムでは、2003年4月〜2004年1月の各月で、1日の積算電力量が最も多かった日を比較すると、一番多かった5月9日は、一番少なかった12月7日の約1.9倍の発電量でした。また、発電パネルの傾斜角(5°と30°)の違いは、太陽高度が低く、総発電量自体が少なくなる秋や冬の発電量には影響しましたが、総発電量が多い春や夏はほとんど差がありませんでした。

 

設置者のアドバイス

設置を考えている人へのアドバイスでは、「近所で実際に設置している人に話を聞くとよい」「(新築時は)最適に設置できるように屋根を設計するべき」などが目立ちました。どちらのアドバイスも、発電特性などの情報が不足していたという自らの経験からの意見と考えられます。

今後、設置を検討している人は、設置条件を考慮した正確な予測発電量やコストを業者に要求することや、すでに設置している人に意見を聞いて、情報不足を補うことが必要です。

 

写真 当研究所屋上に設置した太陽光発電パネル

 

表 太陽光発電の利点と欠点

利点

欠点

・太陽エネルギー自体は無料で無尽蔵

・COなど発生せずクリーン

・維持管理が簡単

・設備にかかるコストが高い

 

・雨、曇、夜は発電できない