建物に対する屋上緑化の効果


 屋上緑化には、断熱効果による省エネルギー化、自然環境の創出、ヒートアイランド現象の改善などのメリットがあると言われ、近年注目されています。当研究所の屋上緑化施設の建物に与える熱的な効果を調べました。
 兵庫県では環境の保全と創造に関する条例の改正を行い、平成14年度から屋上緑化の普及に力を入れています。当研究所の屋上緑化施設は、その普及に向けたモデル施設として、ビオトープ緑化、薄層緑化、菜園緑化など様々な緑化方法を取り入れています(平成15年3月完成)。
屋上表面温度からみた緑化の効果
 屋上における非緑化の通路部分、セダム、コケの薄層緑化各部、菜園部分の温度変化の一例を図Aに示します。
 非緑化の通路部分に比べて、セダム、コケの薄層緑化部分および菜園部分では、各日における温度変動が小さくなっていることがわかります。このことは、建物のコンクリートの熱膨張・熱収縮の作用を小さくすることから、屋上緑化による建物の長寿命化も期待されます。
 また、図に示した期間(2003年9月11日〜17日)中の平均温度は、通路部分31.6℃でしたが、セダム緑化部分28.0℃、コケ緑化部分29.1℃、菜園部分29.4℃であり、緑化することにより平均温度も低減させていることがわかります。
建物内における屋上緑化の効果
 図Bは非緑化の通路部分とコケ緑化部分に当たる建物内側(屋内側)のコンクリート表面温度の変化をみたものです。コケ緑化部分は、通路部分に比べて、温度変動が少ないことがわかります。また、9月15日の正午では通路部分が31.3℃、コケ緑化部分が28.7℃で2.6℃の差が見られました。空調が停止していた9月13日〜15日の平均温度で、通路部分が29.8℃、コケ緑化部分が28.9℃で0.9℃の差がみられました。
屋上緑化を実施するときのアドバイス

 屋上緑化にはコケやセダムの薄層緑化や菜園緑化など様々な方法があります。屋上緑化を実施するときは、何を主目的に緑化するかを明確にして、専門業者とよく相談すると良いでしょう。