クーリング・オフを逃れようとする事業者にご注意!
【事例】
 2週間前に訪問販売で下水道工事と外壁塗装を勧められて契約。工事も完了したが、不審な点があり、金額や内容にも納得がいかない。解約したいと思うが、事業者には「工事は完了しているのでクーリング・オフは出来ない」と言われた。クーリング・オフについて記載された契約書面などは受け取っていない。
                                                        
【アドバイス】
 クーリング・オフとは、トラブルの起きやすい一定の販売形態において、消費者に冷静に考え直す期間を与えるもので、訪問販売の場合は契約書面を受領してから8日以内であれば、消費者は無条件で契約を解除することが出来ます。
 訪問販売事業者は、契約が成立した場合には、消費者に対し、特定商取引に関する法律に基づく書面を交付しなければなりません。
 この書面には、契約の内容や販売店名などを記載しなければならないことは勿論、クーリング・オフができる場合には必ずその旨を記載しておかなければなりません。
 事例のように書面を渡していない場合や、渡していても重要な事項やクーリング・オフが出来る旨を記載していない場合などは、契約日から8日間を経過していてもクーリング・オフが可能と考えられます。
 従って、事例のケースでは工事が完了していても クーリング・オフが可能であり、相談者には事業者あてに書面でクーリング・オフを通知するよう助言しました。
 近頃、クーリング・オフが可能な契約であっても、事例のように事業者がクーリング・オフに応じなかったり、妨害しようとするトラブルが起きています。
 長引く不景気を背景に、これまで訪問販売などを行っていなかった事業者が不勉強のまま訪問販売を始めた場合や、資金繰りの悪化に伴い、なんとかクーリング・オフを回避したい、といった事業者側の事情があるようですが、許されることではありません。しかしながら、いったん代金を支払ってしまうと資金繰りの厳しい事業者からお金を取り戻すのは大変な労力を要します。
 トラブルを避けるためには、その場で契約せずに、本当に必要な工事かどうかを冷静に判断し、数社から見積もりを取るなど、慎重な対応を心がけましょう。
 また、クーリング・オフの通知は書面で行う必要があります。ハガキの両面のコピーをとり、簡易書留など記録の残る形で郵送するように注意しましょう。


                                        (東播磨生活科学センター)
                                          
                                         婦人ひょうご  平成22年5月号

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