借金の問題は必ず解決します
【事例】
 5年前に高齢の母が入院したことがきっかけで、消費者金融に借金をした。返済のために借金を繰り返しているうちに、夫婦で14社520万円と借金が大きく膨んでしまった。子どもと母と夫婦の8人家族。私はパートに出られなくなり、収入は夫の給料のみ。その夫の給料の大部分を借金返済に充てており、給料の前借りもしている状態で、生活が困難で借金の返済も苦しくなった。何とかならないか。
                                                      (40歳代 女性)
                                                        
【アドバイス】
  相談者は、多重債務に関する新聞記事を見て、被害者の会に相談後、センターを紹介されて相談にやってきました。詳しく話を聞くと、夫の給与収入は不景気で減少して月24万円、妻のパート収入は月12万円程度でしたが、妻が母の介護のため先月から休職しているため、月に23万円の借金を返済すると生活が困難で、子どもの学校の給食費等も払えない状況でした。消費者金融の借金は、夫婦とも契約時から29%以上の高い金利で返済していました。
 最近まで、消費者金融等は利息制限法の制限金利(年15%〜20%)と、刑事罰対象となる出資法の上限金利(29.2%)との間の金利(いわゆるグレーゾーン金利)で貸し付けている場合がほとんどでした。しかし、利息制限法を超過する部分の金利はさまざまな条件を満たさない限り無効で、支払う義務はありません。そのため、利息制限法の利息に引き直し計算した結果、返済額が減少し返済が可能となる場合や、過払い金が戻ってくる場合があります。
 この事例の場合は、相談者にグレーゾーン金利について説明し、残債務確認のため消費者金融業者から取引履歴を取り寄せました。センターが支援し、利息制限法の金利で計算(引き直し計算)をして、特定調停(※)の申し立てを行った結果、夫婦の借金は520万円から130万円に減額されて、返済額も月23万円から6万円に大きく減少しました。また、子どもの学校の経費については、小中学校の修学援助制度や高校の授業料免除が利用できることになり、生活を再建することができました。
 多重債務に陥らないためには、高金利の借金をしないこと、借金返済のための借金をしないこと、安易に保証人にならないことなどが大切です。しかし、今回のように多重債務に陥ってしまったら、一人で悩まず、最寄りの消費生活相談窓口に是非ご相談ください。借金の問題は必ず解決します。身近で困っている人があれば、相談するように声をかけてあげてください。

 ※特定調停とは、簡易裁判所が債権者と債務者の間に立って利害関係を調整します。

                                          (但馬生活科学センター)
                                          
                                         婦人兵庫  平成21年10月号

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